新抗がん剤テロメライシン 出典:朝日新聞

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2019-01-22_195015岡山大が開発したウイルスを使った新抗がん剤「テロメライシン」=KM=の臨床研究が終了した。放射線と併用して治療した食道がんの患者12人のうち8人でがんが消え、3人でがんが小さくなった。製薬会社と治験を進め、薬としての認可を目指すという。

 岡山大病院の藤原俊義教授(消化器外科)らが開発したテロメライシンは、かぜの原因ウイルスの遺伝子を組み換え、がん細胞の中だけで増殖し、細胞を破壊するようにしたもの。

 研究に参加したのは、高齢や合併症のため手術ができない食道がん患者13人(53~92歳、平均79・7歳)。6週間の放射線治療中に、テロメライシンを計3回、がんに直接注射した。

 治療の途中、他の持病が原因で死亡した1人を除く12人で効果を検証した。その結果、早期がんのステージⅠだった6人中5人(83・3%)、ステージⅡ、Ⅲだった5人中3人(60・0%)の計8人でがんが消えた。研究チームによると、日本食道学会のデータでは、放射線による治療成績はステージⅠで56・7%、Ⅱ、Ⅲで26・8%なので、テロメライシン併用によって、治療効果が上がったと考えられるという。

 一方、全員一時的にリンパ球が減り、6割で発熱や白血球の減少などが起きたが、治療中に全員回復した。

 今後、製薬会社と治験を進め、その結果を見た上で再生医療等医薬品として早期承認を得て、臨床現場への提供を目指すという。藤原教授は「抗がん剤や手術ができない食道がんの人に役に立つだろう。また、免疫療法との併用などでも効果を確かめていく」と話す。

 =テロメライシン= 多くのがん細胞で活発に働くテロメラーゼというたんぱく質を標的にしたウイルス製剤。がん細胞に感染するとテロメライシンが爆発的に増殖して細胞を破壊するが、正常細胞では感染しても増殖しないという特性を利用している。

 ステージⅠ~Ⅲの食道がんは、手術が標準治療となっている。手術に耐える体力がない高齢者や持病の関係で手術ができない人は、次善の化学療法や放射線治療を受けることになる。