2010年7月アーカイブ

世界地図の誕生

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2010071101.jpg2010071102.jpg応地利明著、ソン・テオク訳

 ナビゲーションシステムで道を探し、衛星写真で世界中どこでも見渡すことができる今、この本は「地図とは何か」を問う。地図に関するありきたりな歴史書という先入観は捨てていただきたい。この本は、地図の「誕生」に集中することで、地図に対するわれわれの「視点」を豊かに、そして深めてくれる。
 地図の科学性と実用性は、最近になって生まれた役割だ。世界が未知のものであふれていた時代に、地図は「世界をどう見るか」という世界観と直結していた。

(出典:朝鮮日報電子版)
著者は日本、中国、西アジア、地中海のイスラム世界、西欧のキリスト教世界で作られた代表的な中世の世界地図を紹介しながら、各文明がどのように世界を認識したのかを説明する。また、大航海時代をリードしたポルトガルで作られた「カンティーノ世界地図」(1502)を例に挙げ、実用性・科学性が強調された近代世界地図の誕生過程も説明する。
 古代-中世人の世界観、各文明の相互交流が、地図を通じて分かりやすく、かつ面白く書かれている。キリスト教的世界観を集約した英国のハリフォード世界地図(1300年ごろ)、大地を四角に表現した中国の古今華夷区域総要図(1140年ごろ)などの写真が目を引く。

 応地利明著 日本経済新聞社出版局(278p)2007.01 2,520 円

confucius.jpg東アジア文明論』 鎮・趙東一著(ソウル大学文学部名誉教授)

韓国を代表する人文学者は自信満々に、「中国や日本の学者は、これほど大きな視点を持った本を書けない」「囲碁に例えると、下手は汗を流してやらなければ、上手が一度示した視点に付いていくことはできない」という発言を繰り返した。
 最近、『東アジア文明論』(知識産業社)を出版した趙東一(チョ・ドンイル)ソウル大名誉教授(国文学)=71=は、「これまで書いた70冊余りの著書の中から重要な部分を集め、1冊に集約した」と語った。昨年10月、中国・北京外国語大で行った講演の原稿が基になった。全6回の講演を終えると、同大学の学長は韓国学専攻の教授に対し、「趙教授の本をすべて翻訳せよ」という特命を下した。趙教授は、「わたしの本をすべて翻訳するのは不可能なため、代わりにこの本を執筆した」と語った。中国と日本でも、間もなく訳書が出版される予定だ。
 本書は、漢文を「東アジア文明の共同財産」と規定し、東アジア諸国が漢文文明圏の一員となったのは賢いことだった、と強調した。イスラムやキリスト教文明との比較を通じて東アジア文明の特性を見いだし、各国が東アジア文明に寄与した側面を分析した。東アジア文明に現れた儒教・仏教・道教の思考形態を説明し、各国の長所を生かして統合された東アジア学を形成していくべきだと説いた。

(出典:朝鮮日報電子版)

 趙教授は、「議論を繰り広げながら」という本書の序章から、「孔子はどの国の人なのか」と挑発的に問題を提起した。孔子は、もともとは魯の国の出身だが、500年後には中国人に、さらに500年後には東アジア人となったが、今や世界人となるよう、東アジア人が共に努力しなければならないと主張する。アテネ出身のソクラテスがギリシャ人になり、ヨーロッパ人を経て、世界人になったのと同じだ。趙教授は、「それなのに韓国は、“孔子が死んでこそ韓国が生きる”と言って孔子を中国人に押し戻そうとするのに対し、中国は“孔子は中国人だ”と強調している。東アジアが、有力な世界人候補を皆打ち落とし、どこの国の人かという論議に執着しているために、ヨーロッパ文明と善意の競争を繰り広げる東アジア文明が形成されずにいる」と指摘した。
 趙教授は、中国・韓国・日本・ベトナムなどを「東アジア文明圏」と規定した。ヨーロッパがラテン語・キリスト教文明であるように、東アジアは漢文・儒教・仏教文明圏だ。趙教授は、「東アジア文明はこれを作るのに参加した国々や民族の共有財産。土地を分け与えたら大変なことになると認識していながら、韓国も所有権を持っている文明をまるごと他国に渡してしまっても差し支えないと考えるのは問題」と語った。
 趙教授は、東アジア文明における韓国の役割に注目した。趙教授は、「中心部である中国は自己中心的で、東アジア全体を把握できず、周辺部の日本は、固有文化に執着しながらも西洋化に乗り出した“中退者”だった。しかし、中間部の韓国は、東アジアの共有財産を民族文化の私有財産と合わせ、東アジア文明を離陸させるのに積極的に寄与した。東アジア文明をさらに発展させる役割を担うこと自体が、韓国の民族文化の力量」と評価した。
 とはいえ、歴史や領土問題をめぐり対立を続けている現在の韓中日の状況から見ると、「東アジア文明」はまだまだ遠い先の話ではないか。これについて趙教授は、「それは政治・経済的利害関係のせいだが、民族優越論を捨てて大学の課程を共にするなど、人的交流を通じて、まずは東アジアの学問共同体を築くことはできる」と主張した。

20100709.jpg約700年前の高麗時代のハスの種から花が咲いた。
(出典:朝鮮日報電子版)
 慶尚南道は、咸安郡にある城山山城(史跡第67号)で発見された高麗時代のハスの種を植えたところ、700年余りの時を越え花が咲いたことを7日、明らかにした。
 咸安郡は「九つの花茎のうち、二つから6日と7日に一輪ずつ花が咲いた。さらに、8日ごろもう一輪咲くなど、残りの花茎からも近く花が咲くと見られる」と説明している。花は淡いピンク色で、現代の赤いハスとは違い、花びらの枚数が少なく、長いのが特徴だ。
 このハスの種は昨年5月、国立伽耶文化財研究所が第14回城山山城発掘調査を行った際、昔の池の堆積(たいせき)層と推定される地下4-5メートルの土中で発見された10個の一つ。咸安郡はこのうち二つを韓国地質資源研究院に送り成分分析を依頼、放射性炭素年代測定を行ったところ、一つは1160-1300年のものである確率が93.8%、もう一つは1270-1410年のものである可能性が95.4%という結果が出た。
咸安郡は、残りの種八つのうち、五つを農業技術センターに、三つを咸安博物館に植え、このうち三つの種から芽が出ているという。この三つのうち、花茎が伸びているのは咸安博物館に植えられたものの一つで、咸安郡は4月、プランター二つに分け育ててきた。咸安郡は、六つあった伽耶国の一つ「阿羅伽耶」ゆかりの地ということで、「阿羅紅蓮」と名付け、今後も株数を増やし、咸安郡の名物にしていきたい考えだ。

マニフェスト

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「マニフェスト」という英語には二種類ある。
一つは ① manifest であり、もうひとつは② manifesto である。
② は英単語の綴りにしてはめずらしくTの後ろに「O」が付く。選挙公約の意味のマニフェストはこの②の「manifesto」である。

①の manifest は「マ」のところにアクセントがあり、主な意味は二つある。
一つ目は形容詞で「明白な」「はっきりした」という意味。
但し、この意味の英語では obvious(アブヴィアス)が一般的で、manifest は次のケース以外ではめったにお目にかからない。
“ Manifest Destiny ” という言葉をアメリカ史に詳しい方はご存知だろう。
「明白な天命」などと訳されるが、19世紀の中ごろ、まだ現在のカリフォルニア、ネヴァダ、アリゾナ、ユタ、ニュー・メキシコ、コロラド、ワイオミングの各州がメキシコの領土であった頃、またテキサスがアラモの戦いのあと何処の国にも属さず独立していた頃、アメリカでは Manifest Destinyという思想が広く行われた。これは北米大陸の東海岸から西海岸までの全部を白人のアメリカが支配することが神のご意思であるという思想で、
アメリカの小学生用の歴史教科書にそう書かれている。
大東亜共栄圏(この教科書では ”New World Order ”と訳されている)などとも相通じる、いわゆる「都合の良い言葉」である。

20100701.jpg地図の緑色部分が当時のアメリカ、黄色はテキサス、オレンジ色はメキシコの領土である。
メキシコとの戦争に大勝した後、1853年にアメリカはこれらを全部手に入れ、ほぼ現在の領土となる。やがて、もともとこの領域に住んでいたインディアン達は特別な居留区に追いやられる。
二つ目は名詞で、貿易の経験のある方は聞かれたことがあると思うが、「船舶積荷目録(Cargo Manifest)」という意味に使われ、似たような意味で、飛行機の「乗客名簿(Passenger Manifest)」もある。

一方、②の語尾に「o」 の付いた manifesto は「フェ」のところにアクセントがあり、「宣言」という意味もある。
選挙公約の意味に使われるマニフェストもこの manifesto である。 因みに読売新聞はわざわざ「マニフェスト(選挙公約)」と表記している。

「manifesto」 の語源はイタリア語だろう。英語では普通、語尾の子音 T のあとに母音 O が来たりはしない。後ろから2番目の音節にアクセントが来るのもイタリア語的である。
例えば、gelato ( ジェラート = アイスクリーム )、mercato ( メルカート = 市場 )、passaporto ( パッサポルト = パスポート ) などのイタリア語はいずれも後ろから2番目の音節にアクセントがあり、最後はto で終わる。manifesto もこれと同じなのだ。
アメリカの化学・バイオの大手、モンサント社の社名も Monsanto と最後に「o」 が付く。

マニフェスト、マニフェストと声高に喚く人たちは特に正しく発音してもらいたいものだ。

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